「天リフ編集長」のブログ記事に載っていた他の天体
前の記事では、「天リフ編集長」が執筆したUnistellarの使用レポートブログで紹介されていた天体画像を参考に、同じ天体をより長い露出時間で撮影してみたらどうなるか調べてみた。多くの場合で、より明るく、より大きく天体が写り、より綺麗で見栄えの良い写真が撮れることがわかった(玄人たちには「望遠鏡の接眼レンズを肉眼で直接覗いたときのような淡い感じがいい」というかもしれないが、素人目には発色がよく、明るい写真の方が嬉しいのである)。
編集長の記事では天体がたくさん紹介されていたので、そのすべての画像について比較することができなかった。しかしあれから私自身の観測に進展があり、比較できるものがいくつか手に入ったので、今回はそれをみてみたい。それは「散光星雲」と編集長のブログにあった天体のうち、はくちょう座の網状星雲(ヴェール星雲)である。東ヴェール星雲と西ヴェール星雲と2つあるようである。その両方を20分の露出で観測してみた。ちなみに編集長は9-10分の露出時間だったようである。はたして、この2倍の差がどういう形で現れるだろうか?
はくちょう座のヴェール星雲
はくちょう座のヴェール星雲についてはwikipediaに詳しいので、詳細はそちらに譲る。ただ、一つだけここで確認しておくと、ヴェール星雲とは「はくちょう座ループ」と呼ばれる、超新星爆発の巨大な残骸の一部分であり、その「右」半分の一部と「左」半分の一部が西ヴェール星雲と東ヴェール星雲に対応している。超新星爆発の後、燃え残った星のガスが宇宙空間に飛び散っていくわけだが、それが桁外れに遠くまで膨れ上がっているのが、はくちょう座ループの正体である。
ではさっそく結果を見てみよう。下の写真のようになった。
なんだか立体的に見えるのだが、錯覚だろうか?赤色がこんなに綺麗に出るとは思わなかったので、本当に驚いた。
はくちょう座の輝線/発光星雲IC5146に挑戦
はくちょう座の星図をみると、あちこちに星雲が散りばめられていることがわかる。ヴェール星雲は白鳥の右の翼の先あたりにあるが、今度は「尾」つまりデネブの後ろにある「北アメリカ星雲」と行きたいところだが、これは何度やってもHαの赤い色が出ないので今回は諦めて、その後ろにある輝線/発光星雲と呼ばれるIC5146に挑戦してみた。
これは星が誕生している星間分子雲の塊のようである。すでにその中心部では星が誕生しており、その核融合の火に照らされて星間雲が発光しているというわけである。
それでは観測結果を見てみよう。下の写真のようになった。
こちらも赤の発色がちゃんと記録されている(どうして北アメリカ星雲の赤い色は映らないのであろうか?)。「まゆ星雲」というあだ名があるそうだが、「薔薇星雲」と名付けてもいいほどの美しさである(噂では本当のバラ星雲は撮影できないらしい)。どうして映る赤と映らない赤があるのであろうか?Unistellarのちょっとした謎である。ぜひ解明したいと思うが、いまはまったく五里霧中である。