Catalinaで見捨てられたiPhoto
Mojaveを長らく利用し続けた理由の一つがiPhotoにある(より正確にはiPhoto.app?)。長いこと(Powerbookの頃から)デジタル写真の管理はiPhotoでやってきたので、いきなり「写真.app」でやりますよ、と言われても強い抵抗があったのだ。しかも、iPhoneの写真管理と同じように、スワイプを念頭にした写真整理はどうも違和感があって馴染めない。やはり、ディレクトリのような「箱」に収まってないと整理した気にならないし、写真を探すときに探しにくさを感じるのである。
コロナウイルスのせいでオンライン講義が始まったとき、ビデオ会議でMojaveを酷使しすぎてあやうくシステムが壊れる寸前にまで追い詰められた。仕方なく、Intel core i5の安い(というより「安め?」の)macbook proを購入し、Catalinaの洗礼を受けたというわけである。そのCatalinaも知らないうちに慣れていったが、iPhotoだけはゆずれない一線であった。
iPhotoやそのプロフェッショナル版であるApertureの使い勝手の良さはよく知られている。しかし、(CanonやSONYのデジカメではなく)iPhoneで写真を撮る時代になり、iPhotoのような写真管理ではなく、iOSと同じやり方で写真管理したくなるのはある意味当然なのかもしれない。しかし、多数派だけが世の中の全てではない。必ずいつの時代にも少数派は存在し、少数派の方がインパクトのある結果を出すことも少なくないのである!
またiPhotoで管理してきた10年近くに及ぶ大量の画像データを、「写真.app」型のデータに変換するのは馬鹿らしい作業でもある(一度試したことがあるが、気が遠くなって途中でやめた)。また、個人的にはiPhoneで写真を撮ることはまずない(目の前で地震によって建物が崩れたと言ったような、よっぽどの緊急的な事態でない限り)。写真を撮るときは、一眼レフを準備してから撮影に向かう、という感じである。こういうタイプの撮影をする限り、iPhotoの方が圧倒的に使いやすいと感じる。
Catalinaを買ったとき、iPhotoをCatalinaで使い続けるための方法について調べた。そこで見つけたのがRetroactiveというソフトウェアであった。試してみるとあっさりうまくいったので、なんのメモも取らずにそのままにしてしまった。
あれからさらに数年が経過し、ついにまたiPhotoの引っ越しが必要になったのである。しかし、今回はCPUのアーキテクチャの変更が伴う「大事業」になりそうな予感である。果たして、Catalinaのときと同じように、M1-MBPのmontereyでもうまく移行できるだろうか?
Retroactiveはまだ存在するか?
MojaveからCatalinaへ移行するときだけに必要とされたRetroactiveであるから、あれから数年が経過した今、ほとんどのユーザーが写真.appに慣れ親しんでいるとするならば、わざわざM1-macbook proにRetroactiveを使ってiPhotoを持ち込もうとする人はほぼ皆無ではなかろうか?ユーザーが存在しないとアプリは死んでしまう、というのがAtomエディターの件で感じたことである。
おそるおそる調べてみると、なんと生き残っていた!しかもM1への移行も可能だという。どうも世界にはiPhotoユーザーが根強く生き延びていると思われる。彼らの要望はかなり強いらしい。
現在はgithhubでオープンソースとして公開されている。ソースからのコンパイルも可能だろうが、今回はiPhotoの生き残りの方が優先事項なので、バイナリファイルをダウンロードしてさっそく作戦開始である。移行手続きの詳細に関しては、下のリンクにあるREADME.mdを参照すべきである。
Retroactiveで「M1の岸を渡った」iPhoto
Retroactiveのアプリは(rosettaのおかげか)無事に起動し、機能し、そしてiPhotoの改造も無事に終了した。M1-macbook proにもiPhotoがやってきたのである!これでまた10年近くはiPhotoで画像データを管理できるし、これまでのデータも継続して管理することができる!10年に一度程度しか使わないアプリであるが、Retroactiveは非常に素晴らしいアプリである。
ちなみに、インストールしたiPhotoのバイナリファイルを調べるとx86_64である(Catalinaからコピーしただけなので当然)。やはり、Rosettaはいい仕事をしているといえる。
$ file iPhoto iPhoto: Mach-O 64-bit executable x86_64