タコ足の必要性
現代文明において「タコ足コンセント」は必須のアイテムである。これだけ電化製品に囲まれていれば、住宅に備え付けのコンセントの数だけでは間に合わない。いくら東京電力の「でんこちゃん」に「火事になるから、たこ足配線はやめてね」と言われても、こればかりは首を縦に振れないのである。
ダイソンが掃除機をコードレスにしたあたりから(あるいはトヨタがプリウスを売り始めたあたりから)、充電式バッテリーを搭載した製品で身の回りが溢れるようになった。ただでさえ不足していたコンセントの数がなおのこと必要になり、タコ足なしの生活に戻るのはもはや不可能ではないかっ?!と「でんこちゃん」を問い詰めたい衝動にかられるほどである。
タコ足が特に必要なのが電子機器類である。iPhoneやmacbookはもちろん、電子会議で必需となったタブレットと電子ペン(私の場合、iPad+Apple pencil)、オンラインでかぶるSONYのヘッドフォン、GPSと時間管理機能がついたスマートウォッチ(私の場合はSUUNTO)などなど、どれもがUSBでの充電を要求してくる。
「でんこちゃん」の時代と異なり、現在は単なるタコ足というよりも、USBでのタコ足が必要となってきた。しかも、Appleがtype-Cを採用するようになって、以前から細々と利用してType-B型のタコ足すらも使いにくい状況になりはじめた。とはいえ、type-Cのタコ足製品はまだまだ数が少ない上、どれを買っていいのか迷う状況である。
仕方がないので、検索で最初にひっかかったAnkerという聞いたことのない企業から2つほど購入することにした。
今回はその購入記、使用記である。
Ankerという会社
中国の会社だという。創立者は中国人だが、googleでエンジニアとして勤務した経験をもっているという。2011年に深圳で創業したが、間も無くして湖南省へ本社を移転し、いまでもそこにあるという。
バッテリーや充電器関係では、もはや日本の企業は太刀打ちできなのであろう。しかし、中国の製品は寿命が短いとか、会社の安定性がいまひとつとか、いろいろ問題がある。Huaweiの携帯電話で露見したように安全保障の問題もある....。
とはいうものの。日本や欧米の企業でUSB type-Cのタコ足製品を探すのは一苦労であった。時間と労力の問題から、今回はAnkerの製品を買ってみるという決断をした。果たして製品の品質と信頼性はどうなのであろうか?
購入した製品は2つ
今回は2種類を試すことにした。一つは「タコ足ブロックコンセント」タイプ、もう一つは「タコ足タップ」タイプである。
Anker 737 Charger GaNPrime 120W
まずはタコ足ブロックコンセントタイプの、Anker 737 Chager GaNPrime 120Wである(下の写真)。USB type-Cが2スロット、type-Bが1スロットついていて、コンパクトな感じでtype-Cタコ足ができるのが気に入った。
Anker 737 Charger (GaNPrime 120W)www.ankerjapan.com
プラグの形は日米タイプであるから、中国国内や欧州向けに作ったものではないことがわかる。このプラグは折り畳み可能で、携帯するときに便利であろう(旅行に持って行ったことはないが)。
値段はヨドバシカメラで12,000円ちょっと(Sep.2022当時)だから、それなりに高い製品である。すぐに壊れるような製品だと軽いショックを受けるだろう。
ちょっと重い感じなのが玉に瑕で、製品の重心が壁から突き出すような感じになり、壁のコンセントに差し込んで使うと傾いてしまう恐れがある。iPhoneとmacbookの充電に使っていた(ときどきSONYのヘッドフォンの充電にも使っている)が、購入して3四半期(つまり9ヶ月ほど)で壊れた....。ある夏の日、繋いだ機器の充電が未完了だったのでおかしいと感じ、調べてみると通電してない状態だった。
「なかなか便利だな」と思い始めた矢先の故障はけっこうこたえる。放心状態で2ヶ月ほど放り放しにしていたのだが、タコ足を失った我が書斎ではtype-C機器を差し替える頻度が急増し、イライラ感がmaxになったところで次の一手を真剣に考え始め今日に至る。
Anker 615 USB power strip GaNPrime 65W
もう一つの製品は、タコ足タップ型のもので、Anker 615 USB power strip GaNPrime 65W充電器、という名前が付いている。
Anker 615 USB Power Strip (GaNPrime 65W)www.ankerjapan.com
type-Cが2つ、type-Bがひとつ、そして普通のコンセントもひとつ付いている。「でんこちゃん」には悪いと思うが、このコンセント部分には、さらにType-Bのタコ足ブロックコンセント(オーム社のもの)を繋ぎ、「タコ足のタコ足」で利用している。
コード式なので部屋整理の観点からは多少雑多な感じにはなるが、重要な点はこちらはまだ壊れていないという点である。
値段はヨドバシカメラで6,400円ほど(2022.Sep時点)。先ほどの製品の約半額であり、値段はまずまずといえよう。
他の製品を買うべきか、保証を適用して交換すべきか?
Ankerの保証書を見ると「2年間」とある。故障したのは購入から9ヶ月後、壊れてからの放置が2ヶ月だから、一年弱での「保証適用」の申請ということになる。
「果たして中国の企業がすんなりと交換に応じてくれるだろうか?」という不安は確かにあるし、同じ製品を使い始めたはよいが、再び一年足らずで故障したのではそれも耐えられない。いっそのこと、再び検索をかけて違う会社の製品を買おうかとも思ったが、Ankerにたどり着いたときの検索ですら困難を極めたことを思い出し、気が重くなった。
ということで、だめでもともと、という気持ちで、まずはAnkerのサポートセンターにメールを打ってみることにした。メールアドレスは世界共通のものであったが、日本語でメールを書いてみることにした。おそらくメールサーバがアドレスを見てどの国のサポートセンターに振り分けるかちゃんと判別してくれると期待したからである。
返信は数時間後にさっそくあって、予想通り日本語での返信であった。ヨドバシカメラの領収書(pdf)をメールで送ってほしい、とのことだったので、すぐに添付してメールを送り返した。
翌日になって、製品番号や住所や連絡先電話の情報を送ってほしい、という追加の連絡が来たので、その情報を書いて送り返した。すると2、3日後に指定した宛先に代替の製品が届いたのである!同じ製品の新品である。最後に受け取ったメールには「代替製品の発送と同時に返品用の封筒も送付するので、そちらに故障した製品を入れて送り返してほしい」とあった。この返送用封筒はまだ届いていないが、2週間以内に来るとのことである。
Ankerのサポートセンターの対応は見事であった。製品の交換はスムースであったし、送られてきた新品は今問題なく我が書斎でフル「タコ足状態」で作動している。
新品を新たに購入するのを避けることができたのである。1万2千円の節約と、疲れる検索作業をやらずに済んだという安堵感がある。
Ankerの製品の信頼性には黄色信号がついたとしても、そのサポートの良さを考慮すると、この会社の製品を再び選ぶという選択肢はまだこの手に残しておこうと思った次第である。
とりあえず、今回の「問題解決」はAnkerのサポートセンターのおかげですんなりと片付いたということになった!