複天一流:どんな手を使ってでも問題解決を図るブログ

宮本武蔵の五輪書の教えに従い、どんな手を使ってでも問題解決を図るブログです(特に、科学、数学、工学の問題についてですが)

東京大学2023数学[3] part-5: 解析的な解答

前回のあらすじ

シミュレーションの手法を用いて、円Cと放物線Bの方程式を連立させて得た4次方程式の性質を分析した。その結果$a>1.25$が答えらしいところまでたどり着いた。今回は、この予想が正しいかどうかにけりを付ける。

4次方程式を分析するアプローチ

以前の考察で、4次方程式が \begin{equation} f(x)=x^4 + (1-2a)x^2 + a^2-1 \end{equation} という形になることや、その微分が \begin{equation} f'(x)=2x(2x^2+1-2a) \end{equation} となることはすでに確認した。導関数の性質を分析し、$a>1/2$の場合が題意を満たす必要条件であることも確認した (正解の予想は$a>5/4$)。この条件において、極大値は$x=0$のみで発生するが、その値が正であることも必要条件である。まずはこの条件を吟味してみる。$f(0) = a^2-1$なので、 \begin{equation} a^2-1>0 \rightarrow a<-1, \quad a>1 \end{equation} となる。したがって、全体の必要条件は(この2つ目の条件によって)$a>1$に更新された。

次は、$2x^2=2a-1$で発生する極小値である。題意を満たすためには、この値も正でなくてはならない。 $f(x)$に$x_0^2=(2a-1)/2$を代入すると、 \begin{align} f(x_0) = & \frac{(2a-1)^2}{4} + \frac{(1-2a)(2a-1)}{2} + a^2-1 \\ =& -\frac{(2a-1)^2}{4}+a^2-1 \\ =& a-\frac{5}{4} \end{align} となって、$f(x_0)>0$より、予想していた答え \begin{equation} a>\frac{5}{4} \end{equation} が出てきた。これで証明終了である。$\square$

三角関数でパラメトライズする方法

円の方程式から$(x,y)=(\cos\theta,a+\sin\theta)$と座標をパラメータ表示(極座標の導入とみてもよい)することもできる。 これを条件式$y>x^2$に代入すると \begin{equation} a + \sin\theta > \cos^2\theta \end{equation} を得る。$\cos^2\theta = 1-\sin^2\theta$なので、正弦でまとめると、題意を満たす条件は次のように書き換えられる。 \begin{equation} \sin^2\theta + \sin\theta + a-1 > 0 \end{equation} $t=\sin\theta$, ただし$|t|\le 1$、と置き換えて、tについての2次不等式を解けばよい。因数分解すると面倒なことになるので、まずは頂点の位置を導関数を使って計算しておく。 \begin{equation} g(t) = t^2 + t + a-1 \end{equation}とおくと、 \begin{equation} g'(t) = 2t + 1 \end{equation} つまり、頂点は$(-1/2, a-5/4)$であり、$|t|\le 1$の中に含まれている。したがって、頂点(つまり極小値)の値が正値となることが題意を満たす必要十分条件となるので、答えが出てくる。$\square$

受験数学的には、このやり方がもっとも簡単に片付くし、高校数学の内容に沿った解き方であるので、おそらく出題者はこの解答法を期待してると思う。

ということで、とりあえずは、東大に合格するための最低条件はクリアできた。少し安心である(笑)。

最後に残った問題は、しかし、東大合格とはまったく関係ない問題である。つまり、SVGでグラフを描くという「野望」である。次回はそれに取り組みたいと思う。

ちなみに、答えはもうすでに手中にあるので、「次回の予告」という形をとってみたい。つまり、完成したSVG画像をお披露目しておこう。