Google built-inに参加していない自動車メーカーの代表はトヨタとドイツ車である。トヨタは独自のT-connectという類似サービスを展開しているようだが、その詳細はトヨタ車のオーナーにやってもらった方がいいと思うので、ここでは省略する。ただ、ちょっと前の車検の際に借りた代車が旧式のプリウスだった。数日走った際に感じたナビの使い勝手は(正直)悪かった。Googleと似たり寄ったりだと思うが、しかし、それでも進行方向に対して地図を回転させる機能については、Google built-inよりは「上」だと思う(google built-inの場合、進行方向を向くモードにすると、上空斜め上からのbird viewとなるため、現在地から遠くの様子が見えにくくなる。また、縮尺が自由に変えられない)。
Google built-inシステムというのは、googleマップの基幹部分をカーナビ用に応用し、車の電子制御システムやカーナビ部に組み込んで利用するタイプの「オペレーションシステム」らしい。OSといってもカーナビや交通情報の処理だけに利用するので、組み込みアプリ(ソフトウェア)と呼ぶべきなのかもしれない。
google built-inが搭載された「Honda CONNECT ディスプレイ」という「カーナビのようなデバイス」では、「地図アプリ」、つまりGoogleマップは、車が存在する「周辺」だけの地図データを「ちょこちょこ」ダウンロードする。彼らはそうは呼んでないが、これは「オンラインマップ」と呼ぶべきもの、あるいは物理学者だったら「ダイナミックマップ」と呼ぶだろう。
google built-inというオンライン接続型の「カーナビ」のシステムが流行し始めている。車を常時ネットワークに接続することで、地図データのリアルタイム更新を可能にすることができる。一見「すばらしい進歩」のように見えるのだが、その裏には「ビッグデータ」の収集という目的が見え隠れし、個人情報の盗み取りのようなIT活動が目に見えないところで広がっているようなのである。最近購入した車Honda Civicにもgoogle built-inシステムが導入されており、日本から始まった「カーナビ」の文化が、いまやアメリカのIT企業によって潰されてそうになっている。これはWalkmanがiPodやiPhoneに潰され、DVDやBlu-rayがAmazon primeに潰されたような、「大きな革新」に相当する可能性がある。個人情報の奪取という意味では、音楽ファイルや動画ファイルとは比較にならないような「危険な革新」となる可能性すらある。
「Honda CONNECT」とディーラーが呼んでいたサービスは、正確には「Honda Total Care プレミアム」というサービス商品である。このサービスに支払う料金は複合的であり、その内訳はこちらで確認できる。このHPのスクリーンショットが下の図である。
Honda CONNECTに支払う料金
google built-inについて説明する前に、ホンダコネクトについて見ておかねばなるまい。ホンダのディーラーは、ホンダ車を購入する消費者は迷わずこのサービスに加入するものと決めつけている。しかし、大枚をはたいてようやく新車を手に入れてもなお、月々2000円弱の「会費」のようなものをカーナビの使用料として払い続けなくてはならないと知ったら、多くの消費者は「だまされた」とか「弱みにつけ込むな!」と怒るはずである(私は怒った)。この「カーナビ使用料」というのは、google mapの使用料みたいなものである。つまり、新しいCivicのカーナビを利用するためには、google mapというアプリへの「課金」を認め、毎月二千円近く払わなくてはならない、とディーラーに説明されたのである。
これはFPS、Frame per Second、によって管理する。フレームというのは静止画1枚分のことである。少しずつフレームの内容を変化させながら、次々に入れ替えるとアニメーションになる。この入れ替える間隔(タイミング)のことをFPSという。大抵のゲーム機では60が設定されているようだが、これは1秒間に60回フレームが変化するという意味である。かなりのスピードであるから、このFPSでのフレームの切り替えが見える人は、もはや「Xeviousのプロゲーマー」を超越しているのではないだろうか?